転居等により通勤困難となったため退職
「転居等により通勤困難となったため退職」は特定理由離職となる退職理由のひとつです。
雇用保険の受給手続き(求職申込み)の際、退職理由が「転居等により通勤困難となったため退職」であるとハローワークから認められると給付制限が無く給付内容が手厚い「特定理由離職者」となります。
なお「転居等により通勤困難となったため退職」であるとハローワークにて判断されるケースは、次のいずれかの理由により通勤不可能又は困難となった為に退職した場合の事を指します。
- 結婚に伴う住所の変更
- 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
- 事業所の通勤困難な地への移転(船員については、「船舶に乗船すべき場所の変更」)
- 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
- 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
- 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
- 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
また、この場合の「通勤困難」とは、次のいずれかの場合となります。
- 通常の交通機関を利用し、又は自動車、自転車を用いる等通常の方法により通勤するための往復所要時間(乗り継ぎ時間を含む)がおおむね4時間以上であるとき
- 被保険者が通勤に交通機関を利用すべきこととなる時間帯の便が悪く、通勤に著しい障害を与えるとき
通勤困難と認められる理由ごとの詳細について
1. 結婚に伴う住所の変更
結婚に伴う住所の移転のために、事業所への通勤が不可能又は困難となったことにより勤務の継続が客観的に不可能又は困難となり退職した場合に適用する。
また、事業主の都合で退職日を年末、年度末としたような場合を除き、退職から住所の移転までの間がおおむね 1 か月以内であることが必要です。
2. 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
育児に伴う保育所等保育のための施設の利用又は親族等への保育の依頼のために、事業所への通勤が不可能又は困難となったことにより勤務の継続が客観的に不可能又は困難となったことにより退職した場合に適用する。
このような状態になったといえるためには、次のすべてに該当する必要がある。
- 被保険者の住所若しくは職場の近隣又は通勤経路上の適当な場所に保育所等保育のた めの施設又は親族がないこと(当該施設又は親族等が適当な場所にあったとしても勤務 の時間帯と保育の時間帯との関係等により、それぞれの利用も保育の依頼もできないという客観的な事情がある場合も含む。)。
- 上記に掲げる以外の保育所等保育のための施設を利用したり、親族等に保育を依頼するとすれば、通勤が不可能又は困難となること
なお、この場合において、「育児」とは小学校就学の始期に達するまでの乳幼児の保育をいう。
3. 事業所の通勤困難な地への移転(船員については、「船舶に乗船すべき場所の変更」)
移転後の事業所(船員については、変更後の船舶に乗船すべき場所)への通勤が、被保険者にとって不可能又は困難となる客観的事情がある場合に適用される。
4. 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
「自己の意思に反して」とは、例えば住居の強制立退き、天災等による移転をいうものである。
5. 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
「4. 自己の意思に反しての住所又は居所の移転」と同様に、他動的な原因による通勤困難な場合が該当する。
6. 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
被保険者本人が事業主から通勤が不可能又は困難な事業所へ転勤又は出向を命ぜられ、配偶者又は扶養すべき同居の親族と別居することを余儀なくされたために退職した場合に適用される。
7. 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
被保険者の配偶者がその事業主から通勤が不可能又は困難な事業所へ転勤又は出向を命ぜられ、或いは再就職のために、当該配偶者が住居を移転することとなった場合に おいて、被保険者本人が当該配偶者と同居を続けるために退職した場合であり、次のいずれにも該当する場合に適用する。
(a) 次のいずれかに該当すること。
- 被保険者の配偶者が、事業主から、被保険者と同居している住所地から通勤が困難 な事業所へ移転又は出向を命ぜられたこと。
- 被保険者の配偶者が、被保険者と同居している住所地から通勤が不可能又は困難な 事業所に再就職したこと。
(b) (a)の事実に伴い被保険者が当該配偶者と同居を続けるために住所を移転することとなったが、その結果、移転後の住所地から事業所への通勤が不可能又は困難となることにより退職したこと。